動物にストレスはないのか?

アニマルセラピーの問題は、動物がストレスを感じない触れ合いとはどういうものか、ということです。

動物自身がストレスを感じるのは、ストレス下に置かれていることを認知しているかどうか、ということと関係してくるような気がします。それは動物の知能レベルに比例するのではないかと思います。ネズミを見ていると、飼い主を飼い主として認知しているかどうかは疑わしいですし、それが爬虫類や魚になるとかなり認知度は下がると思います。

ということは、それらは、もちろん環境の変化などには敏感ですが、「飼われている」ということによるストレスはまだ少ないものと思われます。

ところが、例えばイルカであれば、狭いプールで飼われ、知らない多くの人にさわられる、というのはかなりのストレスになるものと思われます。

人間との触れ合いを「喜ぶ」動物が「犬」なのです

「ストレスを感じないような動物がいるのか!」ということになります。います。それは犬です。
犬と人間はどちらも同じように進化した社会性のある動物です。そして、お互いの利益のために、一緒に住むようになり、人間のある部分を犬が助け、犬のある部分を人間が埋めてきた関係は今まで一万年以上も続いてきました。

もちろん「ストレスを感じない」というわけではありません。しかし、人間との触れ合いを「喜ぶ」動物が犬なのです。彼らは人間の役に立つのが「嬉しい」のです。人間との触れ合いがなくては生きてゆけない動物に、犬はなっているのです。

本当に「犬」は、人間と一緒にいることを喜んでいるのでしょうか。そのヒントになる実験が1966年にジョン・ホプキンズ医学学校で行われています。

この実験では、人と、その人に馴れている犬を一緒の部屋に入れて、犬をモニターしました。部屋に犬だけ入れておいて人が入ってきたときは、犬が興奮してしまうため、犬と人を同じ部屋に入れて、人が犬の横に座り、最初に犬を充分に落ち着けました。

そして、まず人が犬をなでました。その前後の反応を調べると、人が犬をなでている間、犬の心拍数と血圧が下がったのです。ウサギでも同様の実験を行いましたが、ウサギは心拍数も血圧もほとんど変わりませんでした。犬のこの反応は、人がなでたときにリラックスしているためと考えられます。

また、このときに行われた実験で、犬にベルを鳴らすと足にビリッとくる刺激を与え、条件付けを行いました。犬はベルが鳴っただけで、それが嫌な刺激と感じ、それをモニターすると、ベルが鳴った瞬間に心拍数が上がることがわかりました。

ところが、人が一緒にいるときにベルを鳴らすと、なんと、ベルが鳴った瞬間に、犬の心拍数は下がったのです。これにどういう意味があるのか難しいところですが、犬は人と一緒にいるときには、ある程度のストレスを「リラックスするもの」と感じている可能性はあります。

この実験が、いぬと人間の関係を正確に表しているとは言い切れません。これだけで何らかの結論を出すのは非常に危険です。しかし少なくともウサギと犬は全く違った反応を取っており、いぬは完全に人を「意識」しています。身近なこの「犬」がアニマルセラピーに最も適した動物と言い切ってもいいと考えます。